さて、20代の若者であるにもかかわらず健康ランドという中高年以上の来客が多い環境で”寅さん芸よろしく物売り”をやっていた当時は本当に色々な出来事に遭遇しました。
ここで初心者?の方のために”健康ランド”と”スーパー銭湯”の定義の違いをお伝えしましょう。(最近は変わっているかもしれませんが)
◯健康ランド・・・・大きな特徴は入館料を払えば、何回でも入浴可能。また24時間営業の施設も多く宿泊可。映画上映や地方周りの歌手・芸能人が来ることもある。カラオケ発表会が催される場合もある。入館料は2000円くらい
◯スーパー銭湯・・・・入浴は1回限り。入浴料は700円程度が多い。基本は1000円以下。健康ランドのように充実した施設内容はないが、気軽に入浴が楽しめる。
ざっくりこんな感じでしょうか。当時はまだスーパー銭湯が出始めの頃で、この手の施設の多くは健康ランドの形態をとっていました。
というわけで、当時20代の私はこの特異な空間で日々色々な人間模様を眺め人生勉強していました。
まず、どんな属性の人がやってくるか?なのですが、平日の朝からいる人は夜勤明けの看護婦さん、風俗のお姉さんが目立ちました。これは当時の私が健康ランドには不似合いな若い男性がいる?ということで引き寄せたのかもしれません。
看護婦さん達は基本オバサンなので、とにかく言いたいこと言いまくります。朝から下ネタ全開だったと思います。(1杯やっている影響もある)看護婦さんに限らず、オバサンの下ネタは本当にたくさん聞いてきました。実は私は50を過ぎた今でも10才くらいは若く見られる風貌なので、当時の私は尚の事、かわいがられ(弄られ)やすかったのだと思います。一つうまいな~と思ったネタなのですが、見知った同士のオジサンとオバサンが健康ランドで館内着で遭遇し、
オジサン曰く「前がないから男だと思ったよ」
オバサンの返し「重いから家に置いてきたのよ!」オバサンの勝ち👏
オバサン達は普段からネタを一杯仕込んでいるんでしょうね。あっぱれです。接客をする上でお客さんの体に触れるケースは多く、足のマッサージの機械もあるので、女性のお客さんの足を持って機械にうまく載せてあげたりするのですが「こんな若いお兄ちゃんに足持ってもらって♡」とか言って喜ばれるケースも多々ありました。それを見ていたオジサンからは「人の奥さんの足を触れていいね」と羨ましがられました。正直萎えまくります。これが購入につながればいいのですが、確率は本当に低い。。それでも接客は続きます。。最初のうちは調子よくやっていても、オバサンから気を吸い取られる感覚があって適度に距離を取らないとやっていけません。
あとは風俗の女性ですが、これが実は良いお客さんになってくれるケースもありましたので接客は丁寧にしたものです。自分からオープンに話をしてしまうのが凄いのですがもう怖いものがないのでしょう。あまり関わるとややこしいのが目に見えていたので距離感は大切です。
ややこしいといえば、健康ランドの常連さんの中には”ヤ”のつく職業の人もいて、これがまた色々な人柄の人がいました。私は基本的に聞き上手な若者だったこともあり気に入ってもらった兄貴がいまして、これがまた私に良かれと思って余計な事をやるのです(笑)私と同じような出入り業者に脅しをかけて「お前が売れるようにしておいてやったぞ」とか。。。なんかあちこちで出入り禁止になっているような人でしたが、私にとっては(それほど)悪い人では無かったです。
また基本的に販売の拠点は二人体制なのですが、基本女性が早番、男性が遅番になります。私は遅番が多くPM2時~PM10時という就業パターンが多かったです。夜の10時くらいになると、リネン業者がタオルやマットの交換に来るのですが、こちらの方もそっち方面と関わりがある人のようでした。”ヤ”のつく常連さんが教えてくれましたね。「あいつもソー◯ランドに出入りして喜んでやっているようだ」と言ってましたがどうなんでしょうね~仕事でやっているわけですから、、、
この仕事の唯一の約得と言えるのが、就業終了後にタダでお風呂に入れること。中にはNGな健康ランドもあるのですがOKな場所は毎回のように終了後に入っていました。
そんなこんなで色々な人達との出会いがありましたが、振り返ってみると本当に多くの勉強をタダでさせて頂いたと感じています。美容室を経営しているオバサンから「雇われているようじゃダメよ!」と力説されたのを今でも覚えていますね。
健康ランドには一般にお勤めの方も多数いらっしゃっていたと思いますが、やはり平日の外した時間帯に来ているような人たちは、なかなか通常の生活では出会えないような属性の方々が多く話を聞いているだけでも面白かったし、後の人生で多くの教唆を与えてくれました。
このシリーズ続きます。。。